私は何とか平常心を保とうと、胸に手を当てると、不意に八神君は私の腕を引いて店舗の奥へと突き進んでいった。
今度は何をするのか黙ってついて行った先は、フィギアやお菓子やぬいぐるみやら様々な景品が並ぶクレーンゲームコーナー。
中にはゲーム機や家電製品など、数万円以上する景品まであり、私は物珍しさに暫くその場で立ち尽くす。
「あんたはどれがいい?好きなの選べよ」
すると、またもや私に選択権を与えてくれる八神君の粋な振る舞いに再び意表をつかれた。
「なんか、八神君ここに来てから優しいよね?もしかして、罪悪感みたいなものがあったりするの?」
我慢出来ず、少しの期待を込めて思ったことをそのまま口にしてみると、八神君の表情が思いっきり歪んだ。
「は?んなわけねえだろ。そうやっていつまでも顰めっ面されてると、こっちの気分が乗らねーんだよ」
そして、不機嫌そうにぼやく彼の言い分は、やっぱり自分勝手だけど。
その裏に隠された優しさが垣間見えた気がして、思わず笑みが小さく溢れる。