「美月の夢は俺のお嫁さんでしょ?」

すると、不意に投げられた亜陽君の質問に、眉がぴくりと上がる。

「……も、勿論!」

それから、即答するつもりだったけど、意に反して返事がワンテンポ遅れてしまった。


ちょっと前の私なら何の迷いもなく頷いたのに。

けど、あれから色々あり過ぎて、ほんの少しだけ躊躇する気持ちが生まれてしまった。


その微妙な変化を読み取られてしまったか不安になったけど、亜陽君は特段気にすることなく、口元を緩ませて満足げに微笑んでくれたので、私は密かに胸を撫で下ろした。

それから、将来の話はここで終わり、私達は再び作業へと戻る。


……なんだか、凄くあっけない。


どうせなら、もっと深く聞いてくれても良かったのに。

お嫁さんになった後は何したいとか。

二人のこれからの事とか。


でも、私自身まだ何も見出せてないから、聞かれたところで返答に困るけど。

それでも、ほんの少しでいいから、私の将来にも興味を示して欲しかった。


そう思うのは、我儘なのかな……?


段々と頭の中が混乱し始めてきた私は、これ以上考えることは止めて、宿題に集中することにした。