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「……ねえ、亜陽君の将来の夢って何?」 


週末の昼下がり。 
今日は亜陽君とおうちデートの日。


私は亜陽君の部屋で宿題をしていると、ふと昨日のことが頭に浮かび、何気なく質問してみる。
 

「どうしたの急に?」

そんな突拍子もない私の質問に、亜陽君は動かしていたペンを止めて、キョトンとした目をこちらに向けてきた。

「えと……ちょっと気になっただけ。でも、聞かなくても、亜陽君の夢はお父さんの会社を継ぐことだよね?」

それは始めから知っているけど、改めて彼の考えていることに興味が湧いてきて。

これまで人の将来にそこまで関心はなかったけど、屋上での出来事以降、段々と気にし始めてきた。


「そうだよ。あと、俺が経営する立場になったら海外展開に力を入れていきたいかな。自分達の味が国外でも受け入れられるように、もっと研究していきたい」

「へえー……すごいね亜陽君。もうそんな明確な目標があるんだ」

これまで漠然としか知らなかったけど、具体的な夢の話は今初めて聞いたかもしれない。

育ってきた環境はほぼ一緒なのに、いつの間にか彼は自分の会社のことをよく考えていて、遥か先を見据えている。

そんな彼を流石だと思う反面、圧倒的な差を見せられ、少しだけ劣等感が湧いてくる。