__翌朝。
今日からいよいよ十二月に突入。
本格的な冬が始まろうとする中、今年が終わるのも残り一ヶ月を切ってしまい、来年になればついに受験の年が始まる。
これまでは亜陽君と同じ大学を目指す為、余計なことは考えず、ひたすら受験勉強に励めばいいと思っていた。
けど、それが覆された今、私が目指そうとする所は一体何処なのか。改めて己に目を向けると、再び路頭に迷ってしまう。
結局、何だかんだ私はまだ自分のことを全然分かっていない。
そんなことをぼんやりと考えながら、白い息を吐いて青い空を見上げる。
八神君は何処の大学を考えているのだろう。
頭の良い彼なら、選択肢は私よりも沢山ありそうな気がする。
経営者を目指すと言っていたから、きっとかなりレベルの高い所を目指すのかもしれない。
あわよくば私も彼と同じ大学に行ければとは思うけど、それよりも先ずは自分の夢を考えなければと。
気を抜くとすぐ妄想に走るので、思考回路を現実に引き戻して、ポケットからスマホを取り出し、八神君のアカウントを開く。
やっぱり、あれから返信は来ていない。
そもそもとして、未だ既読すらついていないことに若干の苛立ちを覚えながら、トーク画面を閉じる。
”明日学校でね”
普通なら当たり前のことだけど、彼にとっては当たり前ではないから、敢えて送ったというのに。
もしかしたら、これも彼にとって負担になったりするのだろうか。
そんな不安が頭をよぎる中、今度は亜陽君のアカウント画面を開くと、そこはまだ別れ話を切り出す前の日付のまま時が止まっている。
結局あれから私は彼に連絡しなかった。
冷静な判断が出来るようになるには、まだまだ時間が必要で。
今日も出来ることなら会いたくはないけど、生徒会の仕事がある以上そういうわけにもいかず。
社交パーティーの開催日が正式に決まったら、これからもっと忙しくなるだろうし、一個人の事情で周りに迷惑をかけてはいけないので、公の前ではなるべく平常心を保とうと。
そう自分に言い聞かせながら校門をくぐった時だった。