…………そのつもりだったけど。



「やっ、八神君どこ触って……」


何やら徐々にキスの勢いが強くなったなと思った矢先。

私の体を抱き締めていた手はいつの間にか胸に充てられた途端、ここぞとばかりに揉み始める。

そして、危うくもう片方の手が服の中に侵入しそうになる手前。

防衛本能が働いた私は咄嗟に彼の腕の中から逃げ出した。


「なんで離れるんだよ?いい所だったのに」

そんな私の行動が心底不可解に思ったのか。
不服そうな彼の表情を見て、段々と冷静になり始める思考回路。


この人に託したら間違いなく喰われる。


辛うじて残っていた理性のお陰で、正気に戻った私はそう確信すると、これ以上近付くことをやめた。