どうしよう。
もう自分の気持ちが誤魔化せなくなってきてる。
そもそも、何故彼はあれ程までに私にこだわるのだろう。
やっぱり、ここは本人にはっきり確認した方がいいかもしれない。
じゃないと、この沼から一向に抜け出すことが出来ない気がする。
でも、果たして彼は私の質問に答えてくれるのだろうか。
もし、答えてくれたとしたら。
私を“玩具“として見ているのではなく、“女“として見ていると言われてしまったら、私は一体なんて答えればいいの?
「……やっぱり、やめよう」
一日の授業が終わり、教室に残って日誌を書き終えた途端、思わず独り言がぽろりと零れ落ちてしまい、そこではたと我に返る。
幸いにも私の周りには人がいなかったので、密かに胸を撫で下ろすと、ぼんやりと窓の外に視線を向けた。
仮に彼から真意を聞いたところで、私の中で答えがはっきりしていなければ意味がない。
渚ちゃんにも言われたように、いつかはこの気持ちに決着をつけなくてはいけないのに、それがまだ出来ないようでは、そもそもとして彼に問う資格すらない。
とりあえず、これ以上考えたところで仕方がないので、私は日誌を閉じると、机に掛けてある鞄を手に持って教室を後にした。