それは普段と何ら変わりない光景。


限りある一日の中での、貴重な亜陽君との時間。


そのひと時は、いつだって幸せな気持ちで満たされていたのに。



それなのに。


素直に喜べない自分がいる。



亜陽君とのお泊まりも夢のような話なのに、今の私は動揺している。



それもこれも全部、八神君のせいだ。



八神君と保健室でキスしてしまった以降、あれから彼のことを考えると胸の高鳴りが抑えられない。


キスなんてこれまで何度だってしてきたのに、あんなに求められたのは初めてだったから。


そのせいで、何もかもが崩れてしまった。