__翌日。


「え?泊まりでデート?」


今日は久しぶりに二人で登校していると、突然提案された今度のデートプランに、私は驚きの目で亜陽君を見上げる。

「うん。今週末うちの別荘に二人だけで泊まらない?親の了解は得てるし、実を言うと美月の両親にも既に話は通してるんだ」

そして、抜かりなく事が進められていることに更なる驚きを隠せない私は、暫く唖然としながら彼を眺めた。


お泊まりだなんて。

小学生くらいまでは、よくお互いの家に泊まりに来ていたけど、二人だけというのは初めて。


つまり、翌日まで亜陽君とずっと一緒にいるということで、それって……


「……美月?もしかして嫌だった?」

すると、なかなか反応を示さない私の顔を不安げな表情で覗き込んできた亜陽君と視線が合い、ふと我に返る。

「あ、ごめんね。そうじゃなくて、初めてのことだからちょっと緊張しちゃって……」


何を今更と、心の中でツッコミをいれつつも。

いけない考えが頭をよぎり、そんな自分に嫌気がさした私は、耳が徐々に熱くなるのを感じながら視線を足下に落とした。

「はは、美月可愛い過ぎ。そんな不安にならなくても大丈夫だよ」

どうやら、亜陽君には全てお見通しのようで。
思考を読まれたことに、出来ることなら今すぐにでも底なし沼の奥深くまで沈んでしまいたい。

それから、お泊まりの話はそこで終わり。
それ以降は、たわいもない会話を楽しみながら二人の時間を過ごした。