「……美月」 


やめて。

このタイミングで名前なんて呼ばないで。 


「もっと俺を見ろよ」


お願いだから、そんなこと言わないでよ。

私が欲しいのは、そんな言葉じゃない。

欲望よりも、私は八神君の本当の気持ちが知りたい。


そう心の中で呟いた瞬間、彼の綺麗な顔が突如落ちてきて、私の唇を塞ぐ。

それから、ゆっくり味わうように何度も角度を変えてきては、私の唇を食べるように堪能し始める。

その内、隙間から彼の熱い舌がぬるりと入ってきて、いつものように口内の奥まで鎖のように絡みつくと、私の体は完全に支配されてしまう。

「……ん、八神君」

気付けば私も彼の名前を何度も口にしていて、求めてしまう衝動を抑えることが出来ない。