「あははは。面白いね!グラスの七割泡って、おじさん初めて見たよー」

「ももも申し訳ございません!注ぎ直します!」

なんとか注文分のビールを用意したところ、見事泡だらけの軍勢が出来上がり、私は真っ青になりながら提供しようとしたグラスを引っ込めた。

「いいよ。君、初めてでしょ。それに見たところまだ高校生かな?せっかく入れてくれたんだから、有り難く頂くよ」

けど、まるで保護者のような優しい男性客によってその場は笑い話で終わり。

皆さん快くグラスを受け取ってくれたことに、ほっと胸を撫で下ろす。




__そして、宴会開始後。



「うーん、やっぱり来夏君の作るカクテルは美味しいね。このブラッディメアリー絶妙な塩加減なんだけど」

「甘くないカクテル希望なら他にも作りますけど」

「流石、よく知ってるねー。君なら良いバーテンダーになりそうだよ」


いやいや。

高校生!

その人も、私と同じ高校生ですけど!?


お酒を堪能しているお客さんは、彼の立場を知ってか知らずか。

明らかに会話の次元が可笑しい二人を横目に、私は心の中で思いっきりツッコミを入れた。