「ああ、そう。つまりただの臆病者ってことか。それなら言い訳なんかしないで、この学校の連中と同じように大人しく操られてればいいだろ」

やはり、八神君から慰められるとは思っていなかったけど、想像以上に厳しい上に、痛い所を思いっきり付いてきて、怒りが一気に込み上がってくる。

「そんなこと分かってます!変なこと言ってすみませんでしたっ!」


なので、これ以上愚痴を溢すと自分の心が更に傷みそうで。

私は強制的に話を終了させると、やけになりながらその場を離れようと一歩足を踏み出した途端、不意に手首を掴まれ、体が後ろへと傾く。


「……あの、まだ何か?」

そして、これまでの経験上、嫌な予感がしてならない私は警戒しながら恐る恐る尋ねてみる。

「そういえば、今度の土曜日にグルメイベントの打ち上げやるんだけど、店長がお礼も兼ねて是非あんたに来て欲しいって。あのイカれた女も誘っていいから」 


「……え?あ、うん。分かった。予定確認してみるね」


すると、意外や意外。

予想に反して、まさかのお誘いを受けた私は、一瞬呆気にとられるも、徐に首を縦に振る。


「それじゃあ、行けそうなら連絡して」

それから、さりげなく自分のIDが書かれたメモを私に渡すと、八神君は返事を待たずにさっさとこの場から去って行き、私は暫くの間呆然と立ち尽くしたのだった。