__一時間後。
会議が一段落したところで一旦休憩に入り、私は飲み物を買うために自販機へと足を運ぶ。
もうすぐ真冬が差し迫るこの時期は、日が落ちるのもあっという間で。
まだ六時代なのに外は真っ暗なのが、何だか少し損した気分になる。
そんなことを頭の片隅でぼんやりと考えながら窓の外に視線を向ける。
結局バイトのことは亜陽君に却下されてしまった。
確かに、うちの学校は進学校でも珍しくバイト可ではあるけど、している生徒はほぼいない。
そもそも、名家の出身揃いなのでお小遣い稼ぎの必要性がなく、八神君みたいなのはかなり特殊な部類だと思う。
だから彼が不安がるのも分かるけど……。
“何も考えずに全てを委ねればいい”
一見心強い言葉ではあるけど、裏を返せば私の自由は受け付けないということ。
これまで、お互いの将来について詳しく話したことはなかったけど、亜陽君も両親と同じ考えである事がはっきり分かると、何だか少し悲しくなる。
結局、自分はどこまでも操り人形なんだと。
改めて思い知らされ、何も出来ないことに虚しさが込み上がってきた。