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__翌日。



渚ちゃんに全てを打ち明けて以降、心が少しだけ軽くなったと同時に、新たに生まれてしまったある疑問。

それは今に始まったことではなく、前から薄々感じていた事だけど、絶対認めたくなくて考えないようにしていた。

けど、昨日彼女から言われた言葉に段々と見て見ぬふりが出来なくなってしまい、あれからずっと悶々としている。


そもそも、私が八神君を拒めないのは、少なくとも彼に気持ちが揺れ動いていることなのか。

じゃないと、絶対に触れられたくないし、ましてやキスなんて有り得ない。

彼の自由でチャレンジ精神豊富なところに惹かれたのか。

それか単に彼の容姿とテクニックに溺れているだけで、ただの快楽主義な上にミーハーなのか。

渚ちゃんは二人のことを大分蔑んでいたけど、それに絆されている私も同類なのではと。


そんなこんなで、またもや思考の渦へと陥ってしまい、結論が出ないまま堂々巡り。

渚ちゃんが言うように、果たしてこの気持ちに終着点があるのか段々と不安になってきた私は、思わず深い溜息が漏れてしまう。

そんなこんなで今日一日ずっとそればかり考えていて、いい加減頭を切り替えねばと。

散漫としていた意識を正して、目の前で繰り広げられているバスケの練習試合に意識を集中させる。

もうすぐ球技大会なので、ここ最近の体育は各競技の練習試合ばかり。

参加種目は選択式で、運動神経皆無の私は、とりあえず比較的運動量が低そうな卓球を選択したものの。
ほぼ間違いなく足手纏いになるのが目に見えているので、ただ憂鬱でしかない。