「……は?なんですかそれ?これまた揃いも揃って狂ってますね」
こうして全てを話し終えると、暫く呆気にとられていた渚ちゃんは、まるで汚物を見るような目で吐き捨てるようにそう言い放ってきた。
「何なんですか?超イケメンの皮被ったクズ共ですか?ただの盛りですか?倉科副会長はそんな毒牙に今までやられているんですか?」
「……う、うん。……そ、そうなるのかな?」
その上物凄い剣幕で迫られてしまい、渚ちゃんの圧に押されまくった私は、目を泳がせながら、とりあえず首を縦に振ってみる。
「だからここ最近副会長の様子が可笑しかったんですね。そこまで苦しんでいたとは知らずに。それに気付けない私もまだまだ修行が足りませんね!」
それは一体何の修行なのか。
額に手をあてながら心底悔しがる渚ちゃんに一言尋ねようとしたけど、何だか話がややこしくなりそうなので、ここは一旦引くことにした。
「とにかく、渚ちゃんに嫌われなくて安心しました。そして、ありがとうございます。お陰で少し気持ちが楽になりました。誰かにそう言って貰えたのは初めてだったので」
一番欲しい言葉をくれたのは、家族でも最愛の人でもない。
私のことをずっと慕ってくれた、可愛い自慢の後輩。
私は溢れんばかりの感謝を込めて、目に溜まった涙を拭うと満面の笑みを彼女に向ける。
「倉科副会長からそんなお言葉を頂けるとは。嗚呼……、ダメです。私まで泣けてきます。これからも遠慮なく何かあれば話してください。あの二人のモラルには甚だ疑問に感じますが、くれぐれもまた一人で抱え込んだりしないでくださいよ?」
すると、誰よりも頼もしい姿に危うく心を持って行かれそうになった手前。
すんでのところで我に返り、私は黙って首を縦に振ったのだった。