やっぱり、彼に正当性を求めるのは間違いだった。
一体どうすれば私はこの人から……
「なあ、いつまでいい子ぶってんだ?茶番はもういいだろ」
この場をどう切り抜けようか考えを巡らせていた最中。
挑発的な目で言われた八神君の一言に、思考回路がピタリと止まった。
「逃げる方法はいくらだってあるのに、あんたは未だ俺に好き勝手されてるだろ?」
そして追い打ちをかけるような鋭い指摘に、何も反論出来ない私は視線を逸らしてしまう。
「いつだってそうだ。あんたは矛盾だらけ。いい加減認めればいいだろ」
それをいい事に、容赦なく襲いかかる八神君の追撃。
これまで目を背け続けていたことをさらけ出され、羞恥心に耳を塞ぎたくなる。
「もっと欲望に忠実になれよ。美月」
それから、官能的な悪魔のような囁きが心の隙に入り込んできて。
その隙を狙い、八神君は再び私から唇を奪った。
もう二度と過ちは繰り返さないと誓ったばかりなのに。
先程の言葉に囚われてしまった私の体は言う事を全く聞き入れてくれず。
あまつさえ、更なる刺激を求めて、容赦なく絡み付いてくる彼の舌を無意識に追ってしまう始末。