「来夏、どこ行ってたの?なかなか戻ってこないから勝手に帰ったのかと思ったわよ」
美月達と別れ、部屋に戻った途端。
予想通り真っ先に母親に叱られ、それを右から左で聞き流しながら、俺は自分の席へと座る。
「そういえば、学校生活はどうだ?相変わらず教師からの苦情が絶えないが、楽しくやってるか?」
すると、不満げな表情をする母親とは裏腹に。
終始穏やかな笑みを浮かべながら尋ねてきた父親に対し、俺は自然と肩が強張る。
「……まあまあかな。お陰様で好き勝手やらせてもらってるし」
それから、視線を明後日の方向へと向け、わざとぶっきらぼうに答えた。
「そうか。ならよかった。引き続き何か困ったことがあれば遠慮なく言ってくれ」
けど、そんなことはお構いなしと。
張り付いた笑顔のまま業務的な返答をされ、久しぶりの父親との会話はそこで呆気なく終了した。