「随分と遅かったじゃない。何してたの?」
そして宴会の席にようやく戻ってきた私と亜陽君を見た母親が、待ちくたびれたように深い溜息を一つはいた。
「もしかして、二人でよろしくやっていたのか?」
すると、その隣ではお酒のせいなのか。
何ともデリカシーのない父親の無粋な問い掛けに、私は恥ずかしくなり思わず俯いてしまう。
「いいね、若かかれし頃を思い出すよ。いずれにせよ、仲が良いことは何よりだ」
そんな私の反応を見て、向かいに座る亜陽君のお父さんも私達を眺めながら、とても満足そうに微笑んでくる。
その言葉が良心をぐさぐさと突き刺してきて、私はただ苦笑いをするしかなかった。
ごめんなさい。
私達、皆さんが思っているよりも遥かに乱れています。
そして、心の中ではっきり謝罪をしてから、私達は普段通り聞き分けのいい子供の姿に戻ると、何食わぬ顔でお互い所定の位置へと戻っていったのだった。