「亜陽君お願い。もう止めて……」

そろそろ耐えるのにも限界を感じてきた私は、涙目になりながら悲願する。

「そうだね。これ以上はやめた方がいいかも」

すると、亜陽君はあっさり要求を呑み、唇を離して笑顔で地面に落ちていた上着を拾い上げてくれた。

私は安堵の息を漏らし、差し出された服を受け取ってから身だしなみを整えていく。

けど、初めて味わった刺激的な感覚は未だ残り続け、先程から鼓動が激しく鳴り響いている一方。

そんな私とは裏腹に、亜陽君の機嫌はいつの間にか戻っていて、服を着終わると、私達は何事もなかったようにその場を後にした。