◇◇◇
「それじゃあ、そろそろいい時間だし戻ろうか」
そして、暫くして。
宴会終了時間が迫まり、私と亜陽君はベンチから立ち上がり来た道を引き返す。
「あ、私ちょっとお手洗いに行ってくるから先に戻ってて」
それから、身だしなみのチェックも兼ねて私は亜陽君と一旦別れ、お手洗いのある通路へと移り、突き当たりを曲がった時だった。
「あ」
「……え?」
向かいから歩いてきた人物に思わず足が止まり、私は目を点にしながらその場で固まる。
それは向こうも同じ反応で、私と目が合った瞬間、ポカンとした表情を浮かべると、そこから一歩も動かなくなってしまった。
「八神君?……なんでここに?」
暫しの間沈黙が流れる中、何とか声を絞り出したはいいものの、未だこの場所で彼に出会したことが信じられず、そこから先の言葉がなかなか続かない。
「ああ、そうだった。そういえば、あんたらもここ使ってたんだっけ」
すると、何やら八神君の意味深な返答に、私は益々訳が分からず首を横に傾げた。
「俺達もたまに親戚の集まりでここに来るんだよ。……まあ、俺は二年振りだけど」
そう言うと、八神君はポケットに手を突っ込んだまま、とても気怠そうな表情で深い溜息をひとつはいた。
なるほど、だからスーツ姿なんだ。
八神君も亜陽君みたいにかっちりした上下黒色スーツに細めの黒色ネクタイと。普段制服を着崩しているだけに、そのギャップが激しく不覚にも胸が高鳴ってきてしまう。
けど、赤いメッシュの髪とピアスは何も変わらないので、それがまたワイルドな雰囲気を醸し出し、亜陽君とは違ったタイプの大人っぽさに、いけないと自制してても目がいってしまう。
それよりも、今後彼とは一切会いたくないとあれ程願っていたのに、まさかこんな場所で蜂会うとは。
しかも、学校よりも圧倒的に確率が低いのに。
これが運命の悪戯だと言うのなら、今程に神様が憎らしいと思ったことはなく、私は心の中でこれでもかと文句を垂れる。
「それじゃあ、そろそろいい時間だし戻ろうか」
そして、暫くして。
宴会終了時間が迫まり、私と亜陽君はベンチから立ち上がり来た道を引き返す。
「あ、私ちょっとお手洗いに行ってくるから先に戻ってて」
それから、身だしなみのチェックも兼ねて私は亜陽君と一旦別れ、お手洗いのある通路へと移り、突き当たりを曲がった時だった。
「あ」
「……え?」
向かいから歩いてきた人物に思わず足が止まり、私は目を点にしながらその場で固まる。
それは向こうも同じ反応で、私と目が合った瞬間、ポカンとした表情を浮かべると、そこから一歩も動かなくなってしまった。
「八神君?……なんでここに?」
暫しの間沈黙が流れる中、何とか声を絞り出したはいいものの、未だこの場所で彼に出会したことが信じられず、そこから先の言葉がなかなか続かない。
「ああ、そうだった。そういえば、あんたらもここ使ってたんだっけ」
すると、何やら八神君の意味深な返答に、私は益々訳が分からず首を横に傾げた。
「俺達もたまに親戚の集まりでここに来るんだよ。……まあ、俺は二年振りだけど」
そう言うと、八神君はポケットに手を突っ込んだまま、とても気怠そうな表情で深い溜息をひとつはいた。
なるほど、だからスーツ姿なんだ。
八神君も亜陽君みたいにかっちりした上下黒色スーツに細めの黒色ネクタイと。普段制服を着崩しているだけに、そのギャップが激しく不覚にも胸が高鳴ってきてしまう。
けど、赤いメッシュの髪とピアスは何も変わらないので、それがまたワイルドな雰囲気を醸し出し、亜陽君とは違ったタイプの大人っぽさに、いけないと自制してても目がいってしまう。
それよりも、今後彼とは一切会いたくないとあれ程願っていたのに、まさかこんな場所で蜂会うとは。
しかも、学校よりも圧倒的に確率が低いのに。
これが運命の悪戯だと言うのなら、今程に神様が憎らしいと思ったことはなく、私は心の中でこれでもかと文句を垂れる。