「す、すみません、、」

大学生にもなって人にぶつかって尻もちをついてしまうなんて恥ずかしい。

「いえ、こちらこそ前見てなくてすみません。大丈夫ですか?」

その恥ずかしさから、優しく手を差し伸べてくる男性の目を見れずに俯いたまま立ち上がる。

穴があったら入りたい。
無いのなら掘りたい。

そんな気持ちで胸がいっぱいだったが、よくよく考えると相手は今日のパーティーのお客さんに違いなく、そんな人に無礼な態度をとってしまってはいけないと勇気を出して顔を上げた。

「あ、あの、本当に申し訳ござ、、、え?」

謝りながら勢いよく顔を上げて相手の目を見ると、思わず私は硬直してしまった。だって、 

高そうな服、腕時計、靴、高そうな香水の香り、そして誰もが羨む美貌、、、

目の前に私が2年間ずっと会いたくてたまらなかった人がいたから。

「、、、綾川、、、?」

「え、何、、、、は?」

そんな私を訝しげな顔で見返してきた相手もまた、私と目が合うなり言葉を失った。

「まさか、、紬か?」