「ふう」

用を済ませた私は可愛いハンカチで自分の可愛い手を拭きながら会場に戻っていた。

しかし、、、

「どこよ、ここ、、、」

広いホテルの中であることを忘れていた私は、完全に道に迷ってしまった。

ホテルに入ってからは京極くんがずっと一緒にいたから私が方向音痴だってことをすっかり忘れていた。

ヘンゼルとグレーテルのようにパンを撒き散らして来ればよかったのにと後悔してももう遅い。

「こんな狭い道絶対通ってない、、、」

ブツブツ文句を言いながら、汗を拭ったハンカチをドレスのポケットに仕舞おうとすると、ポケットの中で手が冷たい何かにこつんとぶつかった。

「な、なにこれ、、?」