「紬ちゃん、マイクの使い方わかる?」

「もちろん!京極くんの頭をぶん殴るための道具でしょ?」

パーティーの開始まで残り30分を切っていた。

明るく振る舞ってはいるものの、私の祝辞が幕開けの合図だけに、正直怖い。

「通常運転で頼もしいね。でも、困った時は俺が代わるよ」

「ありがとう、心強い」

だけどこうもずっとステージ裏にいては緊張で飛んでいってしまいそうだ。

「ごめん、お手洗い行ってくるね!」

「お花を摘んでくるといいなさい」という京極くんの声を背中に受け、私はトイレへと猛ダッシュした。