空港までの距離はあと数100メートルまで差し掛かっていた。

しかし、思っていたより混んでいて、なかなか車は進まない。

「離陸まであと10分も無い、、、」

京極くんが腕時計を見つめて焦ったように呟いた。

「どうしよう、」

もうあと10分となれば綾川はとっくに機体の中に乗り込んでいるだろう。

仮に間に合ったとしても、飛行機の中に乗ってしまっていては会うことはできない。

「紬ちゃん、車を降りて走って行った方が速いかもしれない」

「た、確かに、、、!」

この渋滞具合では車は確実に時間通りにつかない。

けれど走れば、5分ほどでつく距離だ。

直接言うことはできなくても、飛行機越しに想いを伝えることくらいはできるかもしれない。

「ありがとうございました!」

運転手さんにお礼を言って、勢いよく車のドアを開け、歩道に飛び出す。

どうか 間に合えと心の中で祈りながら、私は全力で疾走した。