「わあ、、、!!」

壮大なアイス工場を前にして、私は目を輝かせた。

ここは天国か何かだろうか。

「あそこから先は立ち入り禁止だけど、ここら辺なら好きに見て回っていいよ」

右を見ればアイス、左を見てもアイス、、、。

次々と型から取り出されるアイスを見ているだけで癒される。

私の生きる糧となっているアイスの製造をこんなに間近で見れるなんて、、!

「私は幸せ者だよ。こんなとこに連れてきてもらって、、、」

歓喜の声を上げる私に、京極がくすりと笑った。

「次期社長の俺と結婚したら毎日でも見れるよ」

そんな彼の言葉を聞き、私はすんとテンションが下がった。

「そこまでして見たくはないよ」

「ははっ、冗談だよ。君には綾川がいるもんね」

「は!!?綾川!?別にあいつはそんなんじゃないし、、!」

そう言いながらも京極くんから「結婚したら、、、」と言われた時に綾川の顔を思い浮かべてしまった自分に気づく。

そんなことあるわけないのに。

そもそも綾川は人間的に私に釣り合ってないし、私は社会的に綾川に釣り合ってないし。

どんな間違いがあってもあいつと恋仲になるなんて有り得ない話だ。

次々と生成されるアイスをガラス越しに見ながらそう思った。