「ついたぞ」

「あ、ありがとうございました!」

気がつけば辺りは暗くなってきていた。

お礼を言っていつものようにリムジンを下りると、なぜか綾川も一緒に下りてきた。

「え、なに?」

私の家に入ろうってか?
まあさっきのことで過保護になってるだけか。

不思議に思いながらもそう納得し、家のドアを開ける。

「ただいまー!」

元気よく挨拶をした私の元に、母が走ってきた。

「遅かったじゃない!一体何して、、、なにその傷は!!?」

「いや〜これは、、、」

なんて言い訳しようかと綾川がいた方を見るけれど、そこに彼の姿はなかった。

「え?」

と思った次の瞬間、

「申し訳ございませんでした」

いつの間にか私の1歩前に進んでいた綾川が深く頭を下げた。

「綾川?何してるの?どうしたの?」

慌てた私は、ぽかんとしている母と綾川を見比べて、彼に頭を上げてもらおうと背中を叩いた。

「俺のせいで、紬さんを危険な目に遭わせてしまいました。本当に申し訳ございませんでした」

「何言ってるの!?別に綾川のせいじゃないよ、頭上げてってば!」

助けを求めるように、玄関の前に停まっているリムジンを振り返るが、竹岩さんはこちらに来て綾川を止めようとする素振りはなかった。

「治療費は後ほどお支払いするので。、、、すみません、失礼します」

いきなりの事で呆気に取られているのか母も「はあ、、、」と頷くだけだった。