彼の背中で揺られているうちに、ものの数分で出口が見えた。

外側から無理やりこじ開けられたような凹み方をしている扉は地面に転がっており、開いた出口から外の風が吹き込んでいる。

「もう出れるぞ」

綾川のその言葉に「うん」と返事をし、私を下ろすように促した。

「もう歩けるよ」

「、、、わかった」

綾川のことだから、「このまま家まで送ってやるよ!」とまで言い出しそうだなと思っていたので、その返事に拍子抜けする。

「やけに素直に下ろしてくれるんだね」

「ああ。、、、お前は自分で出来ることは自分でやりたいんだろうなって思ったから」

「どういうこと?」

予想もしていなかった言葉に思わず聞き返したが、何となく彼の言いたいことは分かった。

多分綾川は、私のことをきちんと分かってくれてるし、尊重しようとしてくれているのだ。

何だか出会った時とは全然違う。

「まだ詳しいことはよくわかんないけど、多分俺の問題に紬のことを巻き込んじまったから」

だから、もうこれ以上お前とは関わらない。

そんな声が聞こえた気がした。