「アイツ_綾川 湊は俺の恋人を誘惑して奪いやがったんだ、、、。親の権力を振りかざしてるだけのただのガキのくせに、、、許せねぇ!しかも俺の恋人だけじゃない!ここにいる奴ら全員の女を絆してやがるんだアイツは!!!」

1人の男がそう言い終えると、他の男達も次々に騒ぎ始めた。

「俺の彼女も、アイツを街中で見かけた瞬間、アイツの虜になって、、、」

「俺なんて、『湊様に勝ってる箇所が1つもない』とまで言われて別れを告げられたんだぞ!」

「あんな顔だけ、財力だけの男の何がいいんだよ、、、!アイツから全てを奪ってやるって決めたんだ」

聞けば聞くほど逆恨みというか、しょうもない話ばかりだった。

「いや、でもそれすぐに目移りしちゃった彼女が悪いんじゃないの?」

綾川は自分から女に声をかけたり誘惑するタイプでは無いように思えるし、確かにここにいる男達は、悔しいけど綾川よりいい男には見えない。

「はぁ!!? 誰が悪いとかもうどうでもいいんだよ!そもそもアイツさえいなけりゃ良かったんだ!」

私の言葉に相当腹が立ったのか、男達は私をその圧で殺せるのではないかというほどの勢いで睨んだ。

「、、、ていうかあんた達が綾川とどんな因縁があるのかなんて大して知りたくないわ!私を拉致したところで綾川はそんなに気にしないだろうし、、そんなんだから彼女にフられるんじゃないの!?」

気づけば私は自分の状況を忘れてそう叫んでいた。

「大体、、、逆恨みで私みたいなか弱い女子高生を誘拐して脅してる時点でその子たちはあんたらと別れて正解よ!!」

「うるせえな!!!!」

バシン!!という音と共に、頬に激痛が走った。

目の前にいる男が私の顔を殴ったらしい。

「ごちゃごちゃうるせえんだよ!どうせお前もアイツの金に目が眩んだ分際だろうが!黙って死んどけ!!」

明らかに尋常ではない様子の男を前にして、私は本当に今日、自分が死んでしまうかもしれないと思った。