「何奴！！？」

バッと後ろを振り返る。

「目が覚めたか」

そこには知らない男が立っていた。私より少し年上くらいだろうか。

｢誰、、？｣

何とか言葉を絞り出すが、この状況はさすがの私でも怖く、声が震えてしまう。

「名乗ったってお前にはわからねーよ」

そう言いながら男はタバコを吸い始める。

｢、、、何が目的なの？｣

何か恨みを買うようなことをしたことなんてあったかと必死に考えてみるけれど、イレギュラーな状況を前にして、上手く頭が回らない。

「別にお前に恨みがあるわけじゃない」

私にじゃない、、？それなら誰になのか

｢お前、アイツの女なんだろ？？恨みがあるのはソイツだよ｣

「、、、は？アイツ？」

はて、私には彼氏がいるだろうかと考えるが、誰の顔も思い浮かばない。

「え、人違いじゃないですか？」

誰かと間違えられて誘拐されるなんて、私の運は17歳にして底をついてしまったのだろうか。

それにしても恨みがあるなら直接本人を誘拐すればいいのに。

「残念ながら人違いじゃねーよ。お前がパーティーでアイツと一緒にいたって言う情報提供があったんだよ。写真も手に入れた。運が悪かったな、アイツのせいでお前はお先真っ暗だ」

淡々とそう述べる男を前に、私は腹が立ってきた。

「よく分かんないけど、何にしても人を拉致するなんて犯罪だろうが！早くここから出して！ていうか許可降りなくても出るわ！」

そう言い放ち、立ち上がろうとした所を新たにドアから入ってきた男達に取り押さえられた。

その中には私を車に放り投げた奴らしき男もいた。

普通の青年、という風な感じの人もいるが、明らかにカタギじゃない見た目の奴はさすがの私も触られると怖かった。

特に私を車に押し込んだ奴らは服装からして危ない雰囲気の人間だ。

｢ちょっと、離してよ！！！それにそのアイツってどこのどいつのことなのよ！！｣

そう言いながら必死に振り払おうとするが、熱がある女子高校生が数人の男達に勝てる訳もなく、すぐに動きを封じられる。

「まだ分かんねーのかよ。綾川財閥の＂お坊ちゃん＂だよ」