「と、溶けちまいそうだ、、、」

さんさんと輝く太陽が撒き散らす光のせいか、私を苦しめるお熱のせいか、溶けそうになりながらも家に向かって足を踏み出す。

途中、あまりの過酷さに足を止めそうになったが、帰ったらアイスを食べよう。と自分に言い聞かせてひたすら歩き続け​た​。

しかし、おぼつかない足取りで少し急な坂を登っていたその時、何も無いところで躓いてしまった。

「うわっ!!!」

普段から転び慣れている私は咄嗟に地面に手をついたものの、力が入らず、道路にうつ伏せで寝転ぶような形で倒れ込んだ。

「まるで昨日と今日では天国と地獄のよう、、、」

あまりの自分の格好の惨めさに、そう呟く。
立ち上がる気力すら起きなかった。

そんな私のすぐ横に、音もなく1台の車が止まった。

電気自動車だろうか?

一瞬、母が私を迎えに来てくれたのだと思い、疲れきった体であるけれど、顔だけその方向に動かした。

だが、その車から出てきたのは私の母とは程遠い、黒いスーツに黒いサングラスを身につけた、いかにもやばそうな男​達だった。

もしかしたら私を助けてくれるかもしれないと淡い希望を抱いたが、その男たちに乱暴に腕を掴まれた瞬間、そんな浅はかな考えは砕け散った。

「は、離し、て、、」

息も絶え絶えに声を上げた私を車に放りこんだ男達に反撃しようと拳を振り上げたところで、私の意識は途切れた。