「湊、、、?」

その大声に京極くんが顔を顰めながらも横を向く。

「何やってるんだよ!2人でこそこそ!『本当に最高の愛を作る』だって!?どういうことだよ!」

ヅカヅカと歩み寄ってきた綾川が、京極くんの胸ぐらを掴んだ。

その拍子に、握られた私たちの手が解かれる。

「ちょ、綾川何してんの!!」

慌てて2人を引き剥がし、綾川を睨みつける。

このままではパーティが事故現場になってしまう。

「なんだよ、2人の時間を邪魔するなってか?俺から離れるなって言ったのに逃げやがって!」

「それは綾川が、、、」

『女の子達と楽しそうに話してたから』と言いかけて、これじゃ私が綾川が女の子達に囲まれていることを嫉妬した様に思われるんじゃないかと思い、すんでのところで言うのを辞めた。

「俺がなんだよ!?」

「、、、私はあんたのペットじゃないし」

そう呟くと、綾川が口を開けたまま黙った。

「別に俺はそんなつもりじゃ、」

2人して俯く私と綾川を見比べ、京極くんが吹き出すように笑った。

「ふはははっ」

予想もしていなかったその反応に、私はカッとなる。

「何がおかしいのよ!」

「そうだぞ!笑ってんじゃねえ!」

私の怒鳴り声に続いて、綾川も声を荒らげた。

「もう行くぞ!!」

「ごめんごめん。2人があまりにも息ぴったりだったから。本当に似たもの同士だね」

笑いすぎて涙が零れたのか、目尻を拭いながらそう京極くんが謝る。

「それと紬ちゃん、例の件考えておいでね」

私の手をグイグイ引いて会場に戻ろうとする綾川について行きながら、その声をしっかり背中で受け止めた。