「でも、、、俺の傍にいたら紬が不幸になると思って、だから留学にだって行ったんだ、」

彼は、どうしたらいいかわからないという風に、握られた手を見つめた。

「今回のパーティー、紬が祝辞をするのは知っていたけど、紬に会うつもりはなかったんだ。一目だけみて帰ろうと思って、だけど、、、」
 
「うん」

「やっぱり、顔見たら、、、」

綾川の手にギュッと力が入る。

「俺も、紬のことがずっと好きだったって、気付いたんだ」

その声に、私は大きく頷く。

「同じ気持ちだったんだね、私たち」

「ああ、、、」

そう言いながら綾川は私に向き直る。

「紬、もしかしたら今日みたいに危険な目に遭わせてしまうこともあるかもしれないけど、、、」

そのまま彼はポケットに手を入れ、何かを取り出すと床に膝をついた。