幼い頃の私は夢見る少女だった。
いつか私にもかっこよくて優しくて素敵な王子様が迎えに来てくれるのだと。そう心から信じて生きていた。
でも、まあ、年齢と学年が上がるにつれてわかってくるわけですよ、
この世に【王子様】とか【主人公】とか【ヒロイン】がいても
私はその【ヒロイン】ではないって。
私は所詮、主人公とヒロインの周りをちょろつくクラスメイトのモブなのだ。
「宮村さん、どうかした?」
「へっ?」
はっと我に返って声の主の方へむくと、そこにはクラスメイトの早川咲斗くんが心配そうに首を傾げていた。
あぁ、そうだった。私今美化委員の仕事中だった、
「ううん、なんでもないよ」
「そう?ならいいんだけど、、」