「お願い」
だけど、苦しそうな表情で放たれた遥人さんの言葉に、遠慮がちに口を開く。
「……『ごめんなさい、母さん』と『全部俺のせい。ごめんなさい』はっきり聞き取れたのは、それだけです」
すると、遥人さんは顔を両手で覆った。
「あーあ。ダサいところ見られちゃった。これは、知られたくなかったのになぁ」
自嘲気味に放たれた言葉が心に刺さる。
「私に、なにかできることは、ありますか……?」
この質問が、踏み込んだ領域なのはわかる。
でも、少しでも遥人さんの助けになりたい。
遥人さんの心が知りたい。
そう思いながら床に座り込む遥人さんと同じように、私はソファに背中を預けて床に座った。
そして、躊躇いなくその問いを口にした。
「誰にも言わないこと」
「それじゃ意味がありません。遥人さんは傷ついたままです」
「いいよ、それで。今更だし」
「よくないです。遥人さんがよくても私がよくありません」
ここで引き下がったら駄目な気がして、私は遥人さんに言い返した。
遥人さんは困ったような、でも苦しそうな顔をして無理矢理笑みを作った。
「じゃあさ、今だけでいいから甘えさせて」
「え、甘え……?」
まさかこんな答えが返ってくるとは思ってもいなかったため、私は驚いた。
「あの、甘えるって、具体的にどういう……」
「ヘンなことはしないから……」
戸惑い私なんかお構いなしで遥人さんは私に手を伸ばしてきた。
「あ、え……?」
何をされるのだろうと身構えていたが、そんな必要もなかった。
抱きついてきたのだ。
私の左胸のあたりに右耳を押し付けるようにして。
だけど、苦しそうな表情で放たれた遥人さんの言葉に、遠慮がちに口を開く。
「……『ごめんなさい、母さん』と『全部俺のせい。ごめんなさい』はっきり聞き取れたのは、それだけです」
すると、遥人さんは顔を両手で覆った。
「あーあ。ダサいところ見られちゃった。これは、知られたくなかったのになぁ」
自嘲気味に放たれた言葉が心に刺さる。
「私に、なにかできることは、ありますか……?」
この質問が、踏み込んだ領域なのはわかる。
でも、少しでも遥人さんの助けになりたい。
遥人さんの心が知りたい。
そう思いながら床に座り込む遥人さんと同じように、私はソファに背中を預けて床に座った。
そして、躊躇いなくその問いを口にした。
「誰にも言わないこと」
「それじゃ意味がありません。遥人さんは傷ついたままです」
「いいよ、それで。今更だし」
「よくないです。遥人さんがよくても私がよくありません」
ここで引き下がったら駄目な気がして、私は遥人さんに言い返した。
遥人さんは困ったような、でも苦しそうな顔をして無理矢理笑みを作った。
「じゃあさ、今だけでいいから甘えさせて」
「え、甘え……?」
まさかこんな答えが返ってくるとは思ってもいなかったため、私は驚いた。
「あの、甘えるって、具体的にどういう……」
「ヘンなことはしないから……」
戸惑い私なんかお構いなしで遥人さんは私に手を伸ばしてきた。
「あ、え……?」
何をされるのだろうと身構えていたが、そんな必要もなかった。
抱きついてきたのだ。
私の左胸のあたりに右耳を押し付けるようにして。