「そっ、そんな事ないよ」

「せっかくショートにして可愛くなったんだからさ、スカート短くした方がいいよ。ってか、高校生にもなって標準丈スカートなんてダサ過ぎ。……ほら、そこに立ってみ?」

「あっ、あ……うん」



私は言われた通り机の右側に立つと、彼女は私のスカートのウエスト部分を二回まくり上げてワイシャツに手を伸ばす。



「ワイシャツのボタンは上から2つ開けてリボンは緩めに垂らす。……はい、これで完成!」

「……でも、スカートがこんなに短いと足がスースーするし、屈んだらパンツが見えちゃうかも」


「わかってないねぇ〜。これが普通のJKなの! せっかく可愛くなったんだからもう少し変わろうよ」

「でも、恥ずかしいよ」


「変わる気があるからイメチェンしたんでしょ? 私もきっかけがあるなら変えてあげたいなって思ってた。だから、靴の中にメモを入れたんだ」

「えっ……。あのメモは桜井さんが入れたものだったの?」


「みちるでいいよ。その代わり、私も結菜って呼んでいい?」

「あ……うん。いいよ」



彼女に話しかけてもらってから話がトントン拍子に進んでいたせいか、まだ気持ちが追いついていけない。
でも、こうやってフレンドリーに話しかけてくれるのは随分久しぶりの事だった。

みちるが席に座ると私も同時に着席する。



「結菜ってさ、話しかけにくい雰囲気を醸し出してたから、どう接したらいいかわかんなかったよ。友達ってさ、第一印象で決めるところがあるから」

「……そう、かな?」


「あははっ。昨日まで大仏みたいだった。仏頂面のまま席に座って黙々とゲームやっててさ。私に話しかけないで〜って雰囲気出してた」

「だ……大仏?? ぷっ!! あはは、酷いよぉ〜」



第三者から見たら自分はそうなのかと思ったら、可笑しくてフいた。
確かに身体も表情も動かさなければそう見えるかもしれない。



「な〜んだ。笑ったらもっとかわいい。はぁ〜あ、負けたわー」

「あはは……、何それ~。みちるだっておしゃれだしかわいいと思ってるよ」


「当ったり前でしょ! 男にモテたくてメイクや髪にお金かけてるんだからさ。あっ、そうだ! 実は私もリア王やってるんだ」

「えっ、見せて見せて〜! みちるはどんな王子様なの?」



みちるはスカートのポケットからスマホを取り出してゲームを起動させて見せると、結菜もポケットからスマホを出してゲームを起動させた。