「タイプ、聞かねえの?」

「うん、興味ないから」

「……」


こいつ、もしかしなくても、失礼なやつじゃねーか。

こういうのは普通、興味なくても聞くもんだろ。



「うう、さむ。ところで夜市くん、なんでこっちに…?」

「俺の家もこの辺」

「そうなんだ」



適当に話しながら見えてきた角を曲がると、梅野が俺とは反対側を向く。


「わたし、こっちだから」

「おー、じゃあな」

「はい」

「は?」



もこもこのジャンパー。
そのポケットから取り出されたのはリボン形のあめ。



「一応、送ってくれたから、そのお礼」

「俺もこっちの道だっただけだけど」

「うん、でもこの辺暗いし、助かったのは事実だから、はい」



押し付け気味に渡されたそれを親指と人差し指でつまむ。


一度も振り返ることなく駆けていく姿を見て思った。


……甘ったるいあめは好きじゃない。