*夜市side*
「ゆいー、これ意外と面白かった!」
「え、ほんとに!? よかったぁ」
「花音もおすすめの漫画持ってきたから読んでよー」
「わ、嬉しい、漫画久しぶりだ」
「氷牙よりひゃっく倍はイイ男出てくるから、絶対読んで!」
「…その漫画破り裂いてやろーか」
いつのまにか梅野と仲良くなっていやがった花音を睨む。
胸糞悪い黒髪男が微笑んでいる表紙に手を伸ばそうとすれば、トゲトゲしい視線と共に、するりと後ろに隠された。………くそ。
最近では俺より梅野の家に泊まる回数が多い花音。それだけでもイライラが溜まっているのに、
「……おまえはさっきからなにやってんだ」
「あ、ちょ、動くなよ」
くるくると俺の髪を弄んでいる直江に、がしっと頭を固定された。
放課後になってすぐ慌ただしく足音を響かせてやってきたこいつは、謎の商品を片手に俺の髪を借りると言ってきたのだ。