「貸して、読んでみるから」

「ほんと!?」

「ちょ、急に大声出さないでよ」

「あ、ごめんね」

「もう」




痛そうに耳をさする真波さんに、反省、反省と心のなかで唱える。


それから他愛もない話を続けながら、ずっと聞きたくて聞かなかった一言を外に出してみる。




「真波さん、他の子たちと話さなくていいの?」

「…なに、最近声かけられすぎて迷惑になったわけ?」

「いや、ぜんぜん! むしろ、女の子の友達っていなかったから、嬉しい」

「と、友達じゃないし」

「あ、そうだよね、ごめん」

「でも、そこまで言うなら友達でもいいけど」

「え、ほんとに?」

「……あんたといると、楽だし」




合わない視線がずずーっと外される。

やっぱり真波さんは可愛い。




「わたしといると楽しいんだ、嬉しい」

「そこまで言ってない」

「あれ」




ふっと思わず漏れたような笑顔の真波さん。

今日から、たぶん(?)わたしの友達。