「…えっと、知ってたよ」

「は?」

「……真波さんが噂広めたのも、夜市くんが怪我したのが真波さんと関連があるのも」




淡々と打ち明けると、信じられないというように真波さんが一歩下がる。


夜市くんからあの日の怪我のことをだいたい聞いているのは事実だった。

知ったときはもちろんいい気はしなかったけど、かといってどうこうしようとも思わなくて。




「あんた、おかしいのわかってる?」

「え?」

「いっつも澄ましてるかぼんやりしてるかどっちかで、自分のことも自分の彼氏のことも傷つけられといて、その原因の花音に絆創膏渡すって、どう考えてもおかしいでしょっ」

「…そ、そうかな? それとこれとは別っていうか、とりあえず血が出てるから応急処置っていうか……………なんか真波さん、わたしのこと、よく知ってるね」

「はあ?」




意味わかんないっ、と結局呆れられて、真波さんは去っていくんだけど。

その日の放課後こっそり下駄箱に入れておいた絆創膏に気づいてくれたのか、翌日、真波さんが話しかけてきた。