「すみません、人様の息子さんの膝の上に乗るなんて」
「なんでおまえが謝ってんの、俺が許可してんだからいいんだよ」
「そうよ梅ちゃん、膝でも頭でも遠慮なく使っちゃって」
「なんで母さんが許可してんだよ、頭はおかしいだろ頭は」
母さんを部屋から出そうとする俺をなぜか梅野が止めに入る。そこに父さんが来て「文香、プリンでも食べよう」と誘ってくれたおかげで母さんの興味がそっちに逸れた。
はぁ、朝からなんでこんな騒がしいんだ、この家は。
部屋を出る直前、「ひとつだけ」と言って梅野の手を握る母さん。
「梅ちゃん、氷ちゃんのこと、よろしくね」
「っはい! だ、大事にします!」
「それ、俺のセリフな?」
「わたしも大事にするもん」
挑戦的な瞳がうるうると揺れながらぶつけられて柄にもなくどきりとする。
少しだけ赤くなった顔に唯一気づいた父さんが、にやにやと笑っていた。
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この後、大量のあめはちゃんと夜市両親にもらってもらい……。そして、なぜか全部は渡したくなかった夜市の手元にふたつだけ今も残っているんだとか。
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