「嘘でしょ………この宇宙にあめ嫌いな人がいるなんて」
「そこらへんにいるだろ」
「でも、なんで、言ってくれなかったの……?」
「…………」
「…もしかして、わたしがあげたから?」
「…………」
「え、そうなの?」
ふい、と視線を外すと、徐々に嬉しそうに頬を伸ばす梅野。
「わたしがあげたあめだから、苦手なのに毎回もらってくれたの?」
「…しらねー」
「あ、照れた」
「照れてねーわ!」
意外な一面…と口に手を当てながら、にまにまが抑えられていない梅野。
そこに「そうね、たしかに意外だわ」と声が聞こえ、思わずふたりで振り向く。
「なんでドア開けてんだよ!」
「開いてたのよ」
「嘘つけ」
なぜかドアの隙間からこっちを覗いていた母さんに驚いて、ばっと梅野が俺から降りた。