「こんな可愛い子が氷ちゃんの彼女さんだなんて…!」
家に連れてくるのなんて直江くんだけだったのに、と嬉しそうに微笑む母さんから、おろおろと困っている梅野の手を引く。
母さんに捕まったら何分話を聞かれるか。
絶対阻止してやる。
「梅野と話あるから、ちょっと連れてく」
「え」
ぽかんとしている両親を尻目に急いで階段を上がった。そのまま見えてきた自分の部屋に入ったところでドアを閉める。
「大丈夫か、梅野」
「…うん、大丈夫。思ったより明るいお母さんだった。それに、さらっと付き合ってること言うから、ちょっとびっくりしちゃった」
「言わない方がよかったか?」
「ううん、タイミングはあれだったけど、言ってくれて嬉しい」
「ん、ならいい」
とりあえず座れよ、と言ったものの……やべー、結構散らかしたまんまだったな。
下を見て座れる場所を探している梅野を笑いながら引き寄せた。
「ひゃっ」
「ここでいい」
「だめだよ、夜市くん」
ベッドに腰掛けている俺の膝の上で小さく暴れる梅野。俺よりも少しだけ高くなった梅野の顔を下から覗き込むと、わかりやすく視線が泳ぎだす。