「やっぱこのシャンプー、いいな」

「また言ってる」



鼻先でうなじがくすぐられる。

わたしのお兄ちゃんがくれたシャンプーの匂いが、夜市くんはお気に入りらしい。

ずっとこのシャンプーにしようかな。




「俺も同じの使いたい」

「じゃあ今度、どこで買ったか聞いてみるね」

「約束な」

「うん」




そんなに好きなのか、まだ離れない夜市くんの頭をやんわり起こすと、ちゅっと軽いキスが降ってきた。

見開いた瞳のまま受け入れるわたしを面白がるように夜市くんが笑う。




「ほんとすぐ赤くなるな」

「え」

「顔、りんごみてー」

「っ、そこまでじゃないよ」

「はいはい」




火照った頬が膨らんでいく。

「やっぱりんご」とその後、夜市くんは何度もわたしをからかった。












真夜中、華奢な上半身が布団ごと手繰り寄せられる。



「……ん……うめの…」


寝ている間なら、いくらでも甘え体勢になってしまう夜市氷牙だった。




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