じっと我慢しながら酸素を欲する梅野に、さすがになと思い、腕の力を弱める。

解放した梅野は、もうバレバレなのに、真っ赤に染め上げた頬を隠すように下を向いた。

そのままそっぽを向きながら恥ずかしさを誤魔化そうとしているのか、「夜市くん」と俺を呼ぶ。




「…来週の土曜日、空いてる?」

「来週? ……たぶん空いてるけど?」

「……あの、この間のデートのリベンジ…したくて…」




弱々しいなかに緊張が織り混ざって少し跳ねたような声。ぽろっと、夜市くんとスイーツ食べたかった…と溢す梅野に、あー…とまた脈が速くなる。


あの時の、ちゃんとデートだって思ってくれてたわけだ? ………なんだよ、マジで。

これだけでバカ嬉しいとか、俺そろそろキモいぞ。




「いーよ、行くか、リベンジデート」

「っうん…!」



輝いた梅野の顔が綻ぶ。

……こいつ、自分が可愛いことわかってて、この顔してんのか……なんて、純粋でも計算でも、梅野の喜んだ顔が見れるならなんでもいいと思ってしまう。




「あ、あれ…」

「なんだ」



ふいに梅野が覗き込んできた。