「話してきな」
「…………」
どうやら、逃げは許されないらしい。
にこにこと笑みが戻っている直江に、なぜかそう直感する。
「あ、もし振られたら、初失恋頑張りましたクラッカーでも鳴らしてやるよ」
「…いらねーわ」
嫌味でしかないだろ、そんなクラッカー。
本気で用意してそうな直江にひらひらと手を振られ、おとなしくファミレスに足を踏み入れる。
店内に入れば否が応でも見つけてしまう姿。
梅野がそこにいた。
近づいてきた店員に、先に連れが来てるので、と断りを入れて奥に進む。
俺に気づいた梅野は、どことなく緊張でもしてるようだった。
「…ありがとう、来てくれて」
向かいに座ると、梅野が唇の端を無理矢理上げたような顔をする。
「……話って?」
「あ…うん。あのね、夜市くんがこの間言ってくれたこと。………わたしなりに考えて、答え出たから、それを言おうと思って」
告白の返事…、だよな。
あー今から振られんだ、なんて、柄にもなく握り拳が脚の間で震える。
ゆらりと重たい目蓋を持ち上げれば、なぜか赤らんでいる梅野の頬が覗いた。