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直江のやつ、まだかよ……。
自分から呼んだくせに、なにやってんだ。
寒さに腕をさすりながら眉をしかめる。
イラついている理由は他にもあった。
ちらり、と数十メートル先にあるファミレスを見上げる。
「…はぁ」
梅野のバイト先じゃねぇか。
よりによって、なんでここで待てなんだよ。
「氷牙、おまたせ」
「…直江」
「ちゃんと来たんだ、えらいえらい」
「うるせ、場所移すぞ」
「あーだめ、それじゃ意味ねーの」
─は?と聞き返した時には、もう既に引力が加わっていた。
ずずずず、と引かれ、靴が摩擦で不快音を放つ。
「おい、どこいくんだ……っ、」
徐々に近づくファミレスに嫌な予感が募り、抵抗を試みるも、意外に直江の力が強い。
……こいつ、無駄に運動して鍛えられてんな。
「離せよ」
低音で見上げれば、今度はあっさり解放された。