「人は怒られて変わるのもいいけど、自分で変わりたいと思うのが一番いい……って父さんは思うぞ」
思い返したくないのに、こんな時に恋愛話をしている自分はバカだと思った。
どうしたって梅野が浮かぶ。
じくじくと胸の内を蝕んで、なにもする気が起きないこのつらさ。どうすりゃいいんだよ…。
「……父さん、俺、好きなやつができた、」
「そうか」
「けど、うまく……いかない」
「そうか」
「ムカつくのに、今もずっと、考えてる」
「そうか」
途切れまくる、言葉。
ただただ出てくる拙いそれに、父さんはずっと耳を傾けてくれていた。
そして、
『ちょっと俺の気晴らしに付き合えよ。あ、却下はなしな? こっちは頼み事いつも聞き入れてやってんだから、たまには氷牙も俺に貢献して✌️』
やや強引なメッセージを直江が送ってきたのは、翌日の放課後のことだった。