父さんと母さんは互いに好きだという気持ちを隠さない。駆け引きすることもなく、今でも呆れるくらい仲が良くて。
普段から見慣れているそんな両親だけど、案外すごいことだと、今では思う。
「……俺、恋愛とか、くそめんどいって思ってた」
惚気話を聞いた途端にぶちかました一言。
「っ、く、ふはははは」
呆れた顔でもされると思ったのに、予想に反して父さんは大笑いしている。
「そうかそうか、まぁ、氷牙からあまり女の子の話は聞かないからな」
「………それは、話せるような内容じゃねーし」
「ん?」
「結構遊んできたんだよ、俺」
「お」
「…嘘だと思ってんだろ、クズとか普通に言われたりすんだからな」
「なんの自慢だよ」
今までしてこなかったまあまあな暴露をしたっていうのに、動じる様子がまるでない。
なんだよ、もしかして知ってたのか?
「怒んねーの?」
「……怒るにしてはもう手遅れそうだな」
「…は?」
「恋愛は、くそめんどいって思って"た"だろ? 父さんには、それは過去の話で、今までの行いはやめようと思ってるって、そう聞こえる」
違うのか?と覗き込まれ、返答に渋っていると、やっぱりなと笑われた。