中学の時、布瀬くんだけが最後までわたしの味方でいてくれたこと。
いつも優しく耳を傾けてくれる布瀬くんと、帰り道でのお話が尽きないこと。
知らない県外に来て心細かったわたしと、寂しさが吹っ飛ぶくらい、たくさん遊んでくれたこと。
なにかあったら真っ先に駆けつけて心配してくれて、自分が一番にそばにいれなかった時はものすごい悔しがってくれるとこ。
どれも大事な思い出で、布瀬くんだったから。
たくさん甘えて、たくさん頼ってしまって、そんな布瀬くんだったから、夜市くんとの狭間でちゃんと、悩んだ。
「ありがとう、布瀬くん」
ごめんね、は求められていないと思った。
いつもの笑顔で笑ってみせると、それでいいと背中を押すように布瀬くんも優しく笑った。