「離したくない。……ずっと、もっと……っ、こうしてたい。ゆいのそばにいたい、そばにいてほしい」



だから、と。懇願するように見上げられた。



「夜市のとこに、行かないで」

「っ…」



視線が外れる。

切なげなその表情は、もうわたしのなかの感情を見透かしているようだった。




………布瀬くんが、こんなにも弱り切っている。

らしくないよと片付けられないほど真剣な熱に、わたしはなにも言えなかった。



夜市くんから告白されたの、なんて言えるはずもなかった。



どうしたらいいのか整理できないまま、冬休みは布瀬くんのお母さんのお見舞いに何度も行って。

次の日にはなんてことないように普段通りの穏やかさを見せる布瀬くんに、わたしの言葉は余計溜まり込んでしまった。




あの日聞いた夜市くんの好きだと言う言葉に、わたしにも返したい言葉がある。

それからひとつ、確認したいことも……。


だけど、夜市くんは今、わたしを避けているみたいだった。