「………俺ってマジのクズなんだな」

「それ、自分で言うか?」

「考えもしなかった。梅野に会いたいとか一緒にいたいとか、そんなんばっかで、俺自身をどうこうしようなんて、思ってなかった」




今までの自分のなかの常識は普通の恋愛とは程遠かったことに気づかされる。


そりゃあそうだよな。布瀬はずっと梅野を見てきて、俺はこんな中途半端で。文句を言う資格なんか持ち合わせてるはずもない。




「おまえなんで俺と友達やってんの?」



自分自身に呆れて言葉を投げかければ、直江がぴくりと眉を上げる。




「節操のないクズなところは置いといて、人間として俺にとっては悪いやつじゃないと思ってる……から?」

「…へぇ」

「お、感動したか」

「わからん」

「おまえ、ほんっと俺に感謝しろよ!」




顎を突き出しても怖さの欠片も滲み出ない直江の声が真っ暗な夜道に高らかに響いた。